平成11年3月に大村市の中心市街地活性化基本計画を受けて、大村商工会議所では、商業タウンマネージメント計画策定事業に取り組み、大村市タウンマネージメント構想ができ、6月に認定を受けました。
今後は、着実に実施する予定です。
1.大村市の中心部商店街活性化の基本的な方向性
(1)
中心部商店街をひとつのショッピングモールと見立て、各商店街の個性を尊重しながら全体としての来街促進、商業機能の向上、共同事業の活性化を図る。特に、アーケード街区は、長崎街道「大村宿」としてのイメージの再生による魅力づくりを図る。
(2)
中心部商店街の2つの核施設を(大村市の新たなシンボルとなる再開発ビルと大村浜屋)を活かして歩いて楽しい歩行アミューズ空間づくりする。中心部商店街にある大型店舗・中規模店舗の集客に、各専門店の個性が交じり合い、それらの街路は、ひとつのテーマパークとしての魅力ある空間づくりをする。これは、ハード整備だけでなく日常の環境美化から実施する。
(3)
各商店街、特に中央商店街に集客のための空き店舗活用によるミニ集客施設を設置する。託児・宅老所「交流スペースのあ」の継続発展、「まちかど研究室」の魅力向上など、市民参加による生活を充実するミニ施設・サービスを展開する。特に、長崎空港の利用者の来街促進、大村市にある研究機関のインフォメーション機能等、大村市にしかできない取り組みを行う。
(4)
各商店街の個店の営業力強化、経営向上のため、売上促進につながる共同事業を実施 し、店舗づくりも支援する。テナントミックスとしての不足業種の補填、品揃えの補強な どの支援、カード事業・商品券事業から共同受注・共同配送の営業強化の共同事業、個別 店舗建替えから共同店舗化の支援等、中心部商店街の全体事業として取り組んで行く。
2.大村市TMO事業体系
1)気配りのあるやさしいサービスの事業
中心部商店街は、『人にやさしい、地域にやさしい商店街』をスローガンに掲げている。これは、郊外型大型店にできない気配りのある、親身な接客応対と各種の共同事業にて、家族連れ、高齢者、子供にやさしい各種のサービスを行うものである。また、地元大村市民のための商店街として、環境に配慮した活動を行う。これらのサービスや取り組みにより、中心部商店街は単なる買い物の場ではなく、大村市民の生活を支援する大村市の拠点地域として、今以上に大村市民に無くてはならない商店街となる。
(1)商店街カード事業
現在中心部商店街では、平成6年から大村市カード事業協同組合として組合員89店舗、年間発行高約4,000万円のポイントカード事業を行っている。この事業は買い物の楽しさを提供する取り組みとして広く大村市民に浸透している。
カード事業のイベントでは、老若男女に喜ばれる取り組みを行い、郊外型大型店に出来ない地元密着のサービスを展開している。特に、高齢者向けの景品交換イベントは高い評価である。
このカード事業の課題は、加盟店数の伸び悩み、発行高の停滞である。
そこで、今回中心部商店街全体事業、つまり商店街としてのTMO事業として充実発展することを図る。特に、高齢者に気配りあるイベント・サービスを展開して行きたい。また、将来的なクレジットカード・多機能カードも、高齢者が使いやすい形態を考えたい。
(2)商品券事業
現在中心部商店街として商品券事業は実施していない。この商品券は、大村市民の贈答用の活用を中心に、『真心をこめた進物のお手伝い』をする事業として展開していきたい。
平成12年度に大村市カード事業協同組合にて事業開始するものの、広く大村市民への普及を考慮して、中心部商店街全体としてのTMO事業として取り組みたい。
(3)環境美化活動
中心部商店街では消費者の買い物利便性提供のため、商店街内で利用できる買い物カートとコインロッカーを設置している。これは買い物環境の整備の一環として取り組んでいるものである。
また、気軽にトイレを利用してもらうためにトイレ看板の設置を行い、買い物環境づくりの気配りを行っている。
さらに、ゴミ省力化につながる買い物バックを作成し、消費者に利用してもらっている。これらの買い物環境サービスを発展させ、地域自然環境に気を配った『地域にやさしい』商店街となるため、清掃活動、ペットボトルの回収活動に取り組みたい。
(4)空き店舗対策事業
空き店舗の活用では、商店街の賑わいづくり、新しい商店の誘致に併せて、単なる休憩所ではない『心が休まる場』をつくる。
また、『学習の場』、『参加の場』づくりにより、大村市民相互のふれあい・交流を促進したい。
(5)共同受注・共同配送
頻繁に来街が困難な高齢者、身障者、子育て中の主婦、共働き世帯等を対象に、家に居ながらファクシミリで注文が一括で出来、受注した配達商品を一括配送するシステムを構築したい。
これは、生活の中で買い物を便利にするだけでなく、大切な高齢者対策ともなる。
また、会員制の買い物代行サービスにより、商店街での買い物以外の用事代行も順次考えたい。
これらの取り組みは、商店街カード事業のポイント対象であり、共通する顧客会員管理システムとして運営する。
さらに、商店街で運営する託児所・宅老所の事業と連動を図る。
(6)託児所・宅老所の拡充
平成10年より実施している託児所・宅老所「交流スペースのあ」は、商店街内の施設として全国的にも注目をされている。
現在の託児所・宅老所として大村市民に利用されている施設のハードとソフトの充実を図る。
まず、リハビリにもなるカラオケスタジオの設置を図る。
さらに、商店街の散歩・散策を楽しんでもらい、商店街を回遊するイベント展開する。
(7)共通駐車場の整備
既存の駐車場の整備だけでなく、高齢者・身障者にやさしい駐車場づくり、生活者が利用しやすい無料駐車場化に取り組みたい。
バリアフリーの商店街づくりのため、個別店舗の取り組みもさることながら、駐車場の整備・改善においても、バリアフリー、利用の利便性向上に努める。
2)生きがい・にぎわいのある場づくり
中心部商店街は、夏越祭りを代表として『大村市の伝統・文化の発信地』である。この伝統・文化は地元以外の大型店、郊外型大型店では出来ない非営利活動である。
しかし、この活動がある故、大村市民は郷土愛を高める。
また、大村市には他の長崎県の都市に無い施設や機能がある。空港、研究機関である。これらの施設や機能を活用し、大村市の中心部商店街にしかできない事業に取り組む。
(1)空き店舗対策事業
空き店舗の活用では、『大村市の伝統・文化の発信地』として各種イベントの場として活用を図る。また、大村市の特産品・全国の特産品の市場、市民のチャレンジショップを展開したい。
さらに、『製造技術の紹介』、『学習の場』をつくり、生きがい・にぎわいのある場づくりを図りたい。
(2)見せるイベント事業
『大村市の伝統・文化の発信地』を目指し、大村独自の楽しんでもらうイベントを展開する。
各商店独自の販売手法をパフォーマンスとしてイベント化したい。
平成11年度から実施している「バンコ事業」を継続し、来街者に対する休憩サービス提供としてお茶を振舞う。
また、託児所・宅老所利用者が商店街で楽しむイベント、空港利用の観光客が楽しむイベントを実施したい。
(3)共同店舗の建設
中心部商店街における"共同店舗"にはさまざまなスタイルがある。店舗形態として、ワンボックスタイプ、パティオタイプ等である。
また建設方法においても、共同建て替え、優良再開発等の手法がある。
大村市の中心部商店街で対象とするのは、「にぎわいと活気のでる共同店舗」である。それ故、専門店集団、食品市場ではそれぞれのスタイルが異なり、地権者との関係で建設手法も異なる。
大村市TMOの取り組みとして、消費者のため中心部商店街のにぎわいづくりとなる共同店舗を企画する。
3)長崎街道「大村宿」の再生
大村市の中心部商店街には長崎街道が通っている。これは福岡県の小倉から長崎県の出島につながる『歴史・文化の道』である。大村市の中心部商店街は長崎街道において唯一の商店街路である。それ故、大村市での長崎街道は『商人文化の道』と言える。
大村市における長崎街道は「大村宿」と呼ばれ、官民一体となった整備の機運が盛り上がっている。
また、大村発展の功労者としての深沢義太夫、海外への窓を開いた天正少年使節等の輝かしい人物は、この「大村宿」にて活躍していた。
中心部商店街の街区整備の方針は、この長崎街道「大村宿」の再生をテーマとして、21世紀に残す街並み整備を行いたい。
(1)店舗外観の改装
「長崎街道」のイメージをテーマとして各商店街、各区画、各店舗等、その一部を統一装飾し、来街者への商店街のアピールを行い、歩いて楽しい商店街をつくりたい。
特に、「長崎街道」のイメージの中で、専門店としての個性を醸し出す装飾・看板、シャッター等、空港利用の観光客が来街したい街並みづくりを図りたい。
(2)アーケードの整備
アーケードは、商店街の空間をひとつに統一できる機能がある。特に、空間の閉鎖性はその商店街をひとつのショーステージに演出することが出来る。中心部商店街では、4つの商店街組織によるアーケードがあり、全体として統一したイメージを出している。
今後、新築・改築が予定されるが、長崎街道「大村宿」としての空間イメージづくりを基本コンセプトとして、各商店街の個性を競い、中心部商店街全体として歩いて楽しい街区をつくりたい。
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